出隆は、哲学の立場を「立場をさらに追考(nachdenken)する立場」、すなわち「立場の立場」だと言う
それは、いろいろな立場と併せて立場そのものを反省・追考する自覚の立場であるとともに、立場以前(純粋経験)をも考察する全局的立場でもあると言う
つまり、哲学の領域として以下の3領域を想定しているようだ
1)種々の立場に関して言えば、科学的学問に対する反省批判の哲学としての科学哲学、あるいは宗教や芸術を対象にする宗教哲学、芸術哲学などがある
2)種々の立場を離れて立場そのものを対象とする原理的哲学としての一般哲学があり、その中心は認識論や範疇論などになる
3)立場以前の真の実在、世界と人生の実相を認識・把捉しようとする形而上学あるいは本体論的領域があり得る
ここで、哲学的立場といわゆる常識的立場との異同を検討しておきたい
常識とは何かを定義することは難しい
普通の人が有する知識内容あるいは判断能力とすることもできるが、普通の人とはどのような人を言うのか
著者はまず、常識は専門知、学術知に対立するものと考える
そこを流れる水と言うのに対し、それはH₂Oだと言うのが化学知だという
しかし科学者にとって、それは常識とも言えるものだろう
このような事情は他にも考えられる
とすれば、あることを知っている集団内で通じることが常識になるのか
ただ、それが学問的に検証されたことであるかどうかは分からない
検証を経た場合には正しい常識、その反対は非常識ということになる
常識はまた、いろいろな仮定を基にしているにもかかわらずその仮定を意識せず、自明のものとしている可能性が高い
科学や哲学においては、その検討が行われる
これから先は、科学的態度、芸術的態度、宗教的態度、道徳的態度などと哲学的態度との異同について考えるようである
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