2023年2月28日火曜日

2月を振り返って































今月を振り返る日となった

今月は新しい場所に移ったので、これまでの恒例から自由であってもよいのではないかと思ったが、以下のような思いが浮かんできた


今月は『免疫から哲学としての科学へ』の校正と春のカフェ/フォーラムの準備に追われていた

そして近刊の方は、今日で校了となった

充実した校正の時間となった

それは、自分の書いたものをより良く理解する時間になったという意味である

実は、まだまだ読み足りないのかもしれない

刊行され、読者の声を聴くことでさらに新しい側面が見えてくることも期待したい


カフェ/フォーラムに関しては、先週の土曜に9回目のSHE札幌が終わり、第7回ベルクソンカフェを明日に控えている

実は、今もその準備の最中である

いつものように、最後の最後までバディウ(1937- )の晦渋な文章と格闘することになりそうな予感がしている









2023年2月25日土曜日

サイファイ・カフェSHE札幌、無事終わる















今日は、第9回サイファイ・カフェSHE札幌を開催した

いつものように、直前まで準備に追われていた

雪が降りしきる中、参加された皆様に感謝したい

直前に仕事の関係で参加できなくなった方がおられたのは残念であった

今日のテーマは「アナクシマンドロスの科学と哲学」で、彼が何を世界の原理と考えていたのか、彼がこの世界に向かう時にどのような精神の動きが起こったのかを中心に話題を提供し、活発な議論が展開した

詳細は、後ほど専用サイトに掲載する予定である























 

2023年2月24日金曜日

「ピュシス」とは















本ブログのタイトルに「自然」という言葉が入っている

その意味を知りたいという気持ちが込められているのだろう

これは古代ギリシアの「ピュシス」(physis; phusis)にその源を持っている

この言葉が意識に上るようになったのは、最近のことのように思う 

確認のために2005年からのブログを検索したところ、ここ1-2年のことであった


「ピュシス」には2つの意味がある

初期には、常に内にある何かで、自ら立ち現れるもの(外からの力によるではない)、根源的原因(原理、本質)を指した

それから後に、「コスモス」(世界)と共通する自然的事物の総体を指すようになった

言い換えると、物理学で解析できる存在しているものと、それができない存在の本質という意味が「ピュシス」にはある

アリストテレス(384 BC-322 BC)は、全体としての存在について問うことと、存在の本質を問うことを「第一哲学」(prima philosophia)とした

つまりそれは、「ピュシス」を問うことである

アリストテレスの「第一哲学」は、わたしが言うところの「科学の形而上学化」とよく重なる

ハイデガー(1889-1976)によれば、アリストテレスの問いは現在でもオープンであると言うよりは、最早問われなくなったという

その視点から見れば、今回の『免疫から哲学としての科学へ』は、その問いを問い直した試みと言えるのかもしれない






2023年2月23日木曜日

新しいブログを始めるにあたって













ブログ『自然と生命の新しい哲学を求めて』(In Search of a New Philosophy of Nature and Life)を訪問いただき、ありがとうございます

最初に、このブログに至った経緯を書いておきたいと思います


昨年、10年間続いた『医学のあゆみ』誌のエッセイシリーズ「パリから見えるこの世界」が終わりを迎えました

そこから今年にかけて、2つの著作をまとめることができました

一つは『免疫学者のパリ心景-新しい「知のエティック」を求めて』(医歯薬出版、2022年)で、もう一つは『免疫から哲学としての科学へ』(みすず書房、2023年3月刊行予定)です

これらは2007年から始めたフランスにおける「全的生活」の中で成熟してきた考えをまとめたものです

前者においては、科学と哲学の創造的関係を模索する過程で見えてきた「科学の形而上学化」という認識の方法を紹介しています

その気付きはまた、現代社会の問題の根底にある思考の衰弱あるいは欠如を炙り出すことになりました

さらに、わたしの目の前を通り過ぎた多彩な科学者や哲学者の生を顧みる中で、人間の生き方にまで思索が羽ばたいています

いわば、我々の生の全体に関わる問題について考えた著作と言えます


また後者は、免疫という一つの自然現象を取り上げ、その本質に至る思索の過程を著したものです

そこでは、免疫学から出発してはいるもののその枠を超え、広く生命の哲学に思索が及ぶことになりました

それは「科学の形而上学化」あるいは「哲学としての科学」とでも言うべき考えに支えられたものでした

この2冊はまた、2007年にフランスに渡る前に抱えていた問いに対する一つの回答を与えているような気がしています

問題は、フランスに渡ってから現在に至るまでにさらに多くの問いが生まれていることです

これからこの場で、この世界の新しい認識に至るための思索を展開していくことにしました


ところで本ブログは、2005年にブログなるものを始めてから5つ目になります

最初は2005年から始めた「フランスに揺られながら」ですが、当時ブログをやっている人は数えるほどでしたので隔世の感があります

続いて2007年からの「パリから観る

3つ目が2010年からの「パリの断章

そして4つ目は、2016年から始めた「二つの文化の間から」です

全く気付いていませんでしたが、4つ目のブログが最長のブログになっていることに驚いているところです

当然のことですが、前ブログを始めた2016年には新しいブログを立ち上げることになろうとは想像もしていませんでした

さらに言えば、今月の初めにもこの展開は見えていませんでした

ブログを変える時は毎回、何かが熟してきたという感覚が突然訪れ、新しい場所を欲するようです

これからもお付き合いいただければ幸いです