今日も井筒俊彦によるプラトンの「エロスの道」のつづきを読みたい
プラトンは霊魂の三分説を唱えた
具体的には、第一はロゴス的要素すなわち純粋知性、第二は名誉心・勇気などの源泉となる激情的要素、そして第三は肉欲などの心の動きを引き起こす欲情的要素である
『ティマイオス』によれば、第一の純粋知性のみが神的で不死であるが、第二、第三の要素は肉体の死とともに消滅する
霊魂が不滅という時の霊魂とは、純粋知性の部分だけを指していたのである
純粋知性とは神が我々に付与したダイモン(神と人との仲介者)である
地上に堕ちて人間の肉体に閉じ込められても蒼穹の彼方を思い、そこに帰らんとする情がエロスなのである
人間霊魂に宿る永遠性に向かう志向性こそ、エロスの本体であると言っている
一般にプラトン的愛は人間から神に向かう上昇志向性と解釈されているが、プラトンの真意は絶対者が相対者を引き上げんとする上から下への呼びかけでもある
そのことを部分的にではあるが感得するのは、昇り行く道の終局でしかない
しかし、絶対者から相対者への愛の下降性の働きかけを的確に捕捉・記述することは、人間には不可能であろう
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