2023年10月10日火曜日

井筒俊彦のプラトン(8)「エロスの道」(3)



















本日も井筒俊彦によるプラトンの「エロスの道」のつづきである

早速始めたい


神から与えられる「ダイモン的なるもの」が人間の中で発動すると、美を獲得しようとする愛として現れる

それは善を獲得しようとする願望に帰着する

この善を熱望する愛が、エロスと呼ばれる

つまりエロスとは、善きものを永久に所有しようと欲すること、と定義できる

それが現実化されるのは、美しきものの中に分娩すること、美しきものにおける生殖として実現する

これは肉体的だけではなく、精神における懐妊についても当て嵌まる

これらを踏まえエロスを再定義するとすれば、美しい対象の内に生殖・分娩することの愛求、とすることができるであろう

死すべき存在は、いつまでも存在し不死であろうとする希求がある

それが懐胎と生殖欲である

この過程によって自らの消滅を超えた永遠性を手に入れることができる

この点を考慮すれば、エロスは永遠性の希求であると定義し直すことができる

プラトンにおけるエロスは、善実現を目指す熾烈な創造的生命の原理なのである

肉体的な懐妊、分娩はあらゆる動物に通じる普遍的現象で、エロスの最低級な発現に過ぎず、人間に特有なものではない

これに対して、精神的な生殖欲を有する人が生むものは、肉の子供ではなく、知慮、正義などのあらゆる徳である

この精神上の分娩こそ、人間本来の生産でなければならない

真に高貴な永遠性は肉のそれではなく、精神の永遠性である

したがって、肉の子供を産んだからといって祀られた者は未だかつてない

ただここで注意すべきは、肉体的エロスと精神的エロスが無関係に存在するのではないことである

肉体的エロスから出発しながらもそれを浄化することにより精神的エロスに転成させ、よって超感性的実在に肉迫することができるようになることである

プラトン的愛の上昇には、自己超克の原理が内包されているのである






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