静止と変化に関する彼のイデア論的理論により、以下のことを要求する
どんな政治的変化も静止させよ
変化、運動は悪であり、静止こそ神聖である
国家を形相とイデアの正確なコピーとして建設するなら、変化は阻止できる
それをするためには、自然に帰れ、すなわち我々の先祖の国家、原始の国家へ帰り、家父長的部族社会に帰るのである
そこでは、賢い少数者が無知な多数者を支配する階級制が行われている
ここでポパーが根本的だと見ている要素を以下に挙げる
1)厳格な階級区分
2)国家の運命と支配階級の運命との一体視
3)支配階級は、戦争遂行のための徳性や軍事的技能の養成を独占する
4)支配階級の知的活動は検閲によって統制されねばならない
5)国家は自分自身を配慮し、経済的自給自足を目指すべきである
このような綱領は全体主義と呼んでもよいとポパーは言う
ただプラトンにはその他にも、善や美に対する燃え上がるような憧れ、知恵や真理に対する愛、哲学者が支配すべきという要求、自国の市民は有徳で幸せであることを望んだこと、国家は正義の上に築かれるべきだという要求などがある
このようなプラトンを理想化する視点を考慮に入れても、ポパーは全体主義に変わりはないと見る
これからこれらの点を具体的に検討していくようである
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