2024年3月23日土曜日

ポパーによる「プラトンの呪縛」(19)政治綱領(1)






























プラトン427-347 BC)の社会学を知った後では、政治綱領を解明することは容易だとポパー1902-1994)は言う

静止と変化に関する彼のイデア論的理論により、以下のことを要求する

 どんな政治的変化も静止させよ

 変化、運動は悪であり、静止こそ神聖である

 国家を形相とイデアの正確なコピーとして建設するなら、変化は阻止できる

それをするためには、自然に帰れ、すなわち我々の先祖の国家、原始の国家へ帰り、家父長的部族社会に帰るのである

そこでは、賢い少数者が無知な多数者を支配する階級制が行われている

ここでポパーが根本的だと見ている要素を以下に挙げる

1)厳格な階級区分

2)国家の運命と支配階級の運命との一体視

3)支配階級は、戦争遂行のための徳性や軍事的技能の養成を独占する

4)支配階級の知的活動は検閲によって統制されねばならない

5)国家は自分自身を配慮し、経済的自給自足を目指すべきである

このような綱領は全体主義と呼んでもよいとポパーは言う

ただプラトンにはその他にも、善や美に対する燃え上がるような憧れ、知恵や真理に対する愛、哲学者が支配すべきという要求、自国の市民は有徳で幸せであることを望んだこと、国家は正義の上に築かれるべきだという要求などがある

このようなプラトンを理想化する視点を考慮に入れても、ポパーは全体主義に変わりはないと見る

これからこれらの点を具体的に検討していくようである










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