明治のお雇い外国人教師で医師のべルツ(Erwin von Bälz, 1849-1913)が東大在職25年を記念した祝賀会で行った挨拶を読む
これは彼の退職をも意味していたので、外国人が少なくなるこれからの日本の科学に向けて苦言を呈している
その基本は、日本ではしばしば、西洋科学の起源と本質について間違った見方がされているということであった
日本人は科学を、いつでもどこでも簡単に利用できる機械のようなものとして捉えているが、それは誤りである
西洋科学は機械ではなく、一定の気候と一定の大気が必要な有機体だからである
西洋の精神的大気は、この世界の探究に傾けた数千年に亘る幾多の傑出した人々の苦難と努力の結果なのである
日本人はこの30年ほどの間にその精神を日本に植え付けようとしたのだろうが、科学の樹を育てるのではなく、果実だけを受け取ろうとした
その精神を学ぼうとしなかったのである
これから外国人教師は少なくなるが、彼らと仕事以外で接触する機会を増やすことにより、その精神を知ることができるようになるだろう
精神をわが物とするのは容易ではなく、一生を費やさざるを得ないのである
このように、日本の大学の将来を思い、厳しい言葉を残している
その内容はこれまでも言われてきたことだが、それが真の意味で日本に根付いているかと問われれば、首を縦に振ることは難しいだろう
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