昨夜は北大で免疫学を研究されていた笠原氏との会食があった
話題が科学だけでは面白くないのだが、科学を入り口に哲学、人生へと広がっていった
なかなかそこまで広がらないことが多いのだが、年齢の成せる業なのか
あるいは、科学の中に留まるのが立派な科学者だと考える研究者が多いからなのか
そこには、科学を取り巻く文化的な環境の貧しさがありそうなのだが
拙著『免疫から哲学としての科学』を最初から最後までしっかり読まれたとのことで、有難くそのコメントを聞いた
まず、あのような広範な領域について綿密で論理的な本としてまとめられたことに敬意を表したいとのことであった
第1章から第4章までは免疫という現象について詳細に調べられ、それらを一つの大局観の下に統合されているという評価であった
この部分は科学者には比較的評判が良い
ただ、免疫学といってもかなり細分化されているので、すべての免疫学者が反応する(できる)かはかなり怪しいと思っている
その上で、このような本は他にも書かれてよいはずだが、日本では出回っていないとのこと
これも前出の日本の文化的な環境のせいなのだろうか
その意味では存在価値はあるのではないかと思った
それに対して、第5章から始まる形而上学的な省察部分についてはよく理解できなかったとのこと
一つには、形而上学は科学と別にあるべきだというお考えをお持ちのようなので、それによる抵抗感があったのかもしれない
わたしが伝えたのは、ここに提示されているのはあくまでも一つの見方に過ぎないが、人間が持っている多様な思考様式をできるだけ取り入れた省察をすることが、自然を多面的に理解する上では欠かせないのではないかという考えであった
拙著には、現在の科学の領域を超えたこのような活動の全体を新しい科学としてはどうかという提案も含まれているが、この提案については賛同されているようであった
時間はあっという間に流れた
このような機会が再び巡ってくること期待したいものである
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