スティーヴン・ホーキング(1942-2018)博士が考えていた最終理論を解説した本が出たとのニュースを読む
On the Origin of Time: Stephen Hawking’s Final Theory (Bantam, 2023)
『時間の起源について: スティーヴン・ホーキングの最終理論』
著者はホーキング博士の最後の共同研究者だったトマス・ハートッホ(1975- )氏
現在はルーヴェン・カトリック大学で研究をされている
このニュースに興味を持ったのは、ストーニーブルックの哲学教授ロバート・クリーズさんの評価であった
Nature 誌に出ていた書評は、"The never-ending quest for a beginning" と題されている
その中でクリーズさんは、2つのことに苛立ったと書いている
一つは、著者がホーキングというブランドを崇め奉っていること
例えば、「デルポイの神託」とか「科学の使徒」とか「わたしが知っている最も自由な人間」など
そのような表現からはホーキングの実像を捉えることができないと考えているからだろう
そして2つ目は、師匠譲りの哲学に対する軽蔑だという
『免疫学者のパリ心景』でも紹介したが、ホーキングは「哲学は死んでいる」と言っている
ただ、それは哲学がやっていることを正しく理解していないための発言で、批判されるべきだろう
ハートッホ氏も、科学は数学を用いて彼が哲学的だと考えている問題に回答を与え、哲学の先を行っているとしている
しかし、その考えは間違っているとクリーズさんは考えている
科学者の仕事は自然を解析することだが、哲学者は科学者がどのように解析しているのかを研究するのが仕事だと見ているからだろう
いずれにせよ、実際にどのような内容なのか、この目で確かめたくなってきた
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