昨年出した『免疫から哲学としての科学へ』の英語版に当たる Immunity: From Science to Philosophy (CRC Press) がこの8月に刊行されることになっている
これまでそういう視点から考えたことがなかったので気付かなかったのだが、これは日本人が英語で免疫という現象について総合的に考察した初めての試みになるかもしれない
もちろん、それぞれの専門領域を科学的に記述することはされてきたが、そこを離れて全体に向かう動きはなかったか、極めて少ないのではないだろうか
少なくともわたしの目に留まったものはなかった
この点について情報をお持ちの方はお知らせいただければ幸いである
もしこれが初めての試みだとすると、驚くべきことである
日本の免疫学の長い歴史の中で、世界に開かれた形で免疫現象を広く論じることがなかったことを意味しているからである
日本の風潮として、科学の成果を分かりやすく、時には面白おかしく紹介することは一般的に行われている
ただ、そこから進んで、文化的な側面も含めて科学の成果を考えることがほとんど行われてこなかった
「科学を文化に」というような掛け声は聞こえてくるが、そこに肉付けがされていないようなのである
これは、そのような視点に対する感度あるいは嗜好と言ってもよいようなものが育っていないことの証左なのかもしれない
より一般的には、日本からの思想的な面での発信が弱いということとも通じる問題になるのではないだろうか
それをさらに手繰っていけば、哲学的思考(哲学や哲学者についての知識ではない)の欠落と関連があるように見える
この点も意識しながら、これからの歩みを進めていきたいものである
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