2024年2月28日水曜日

ポパーによる「プラトンの呪縛」(12)自然と協定(2)



素朴一元論から批判的二元論に発展していくが、その間にはいくつかの中間段階が発生する

その中で重要なものに以下の3つがある

1)生物学版自然主義

2)倫理的・法的実弟主義(Positivismus)

3)心理学的・精神版自然主義

興味深いのは、いずれも権力を擁護するためにも、弱者の権利を擁護するためにも使われたことである


1)生物学版自然主義は、法の下での人間の平等だけではなく、強者の支配という対立する主張を支えるためにも用いられた

最初の提唱者であるピンダロス(522/528-442/438 BC)は、強者には支配者になる使命があるという考えを擁護した

我々には同等の権利があることを強調した生物学版自然主義を最初に主張したのは、ソフィストのアンティポンであった

彼は、規範は恣意的であり、自然と対立するとし、規範は外部から押し付けられたものであるのに対し、自然法則は避けられないとした

エウリピデス(c. 480-c.406 BC)も、奴隷の名前以外はすべての点で自由な人間に比べて少しも劣らないと言い、ソフィストのアルキダマス(4th century BC)も、神はすべての人間に自由を贈った、自然は何人も奴隷とはしなかったと書いている

これに対してプラトン(427-347 BC)やアリストテレス(384-322 BC)は、ギリシア人と野蛮人は生まれつき不平等なのであり、生まれつきの主人と奴隷に対応すると考えていた


ある行動様式が自然であると認めることはできるので正当化も可能である

しかし、芸術、科学に対する関心や自然主義的論証への関心は自然なものではない

また、自然法則に即して生きるのがよいとされるため、健康の条件などを自然法則から導き出して生きることになる

しかし、自分の健康よりも高く評価していることがあることを見落としている






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