このところ春の気配を感じ、気持が立ち上がり跳ねるような感覚を覚えている
久し振りのことだ
その一方、悠々とした時の流れに変わりはない
永遠に近いものを感じながら歩んでいる
さて今日は、『開かれた社会とその敵』の第1巻(プラトンの呪縛)の第2セクション「プラトンの記述社会学」に入る
ここは2つの章に分けられている
第4章 静止と変化
第5章 自然と協定
では早速、「静止と変化」から始めたい
プラトン(427-347 BC)は最初の社会学者の一人であり、最も影響力のある人物であった
人間の社会生活、その発展法則、その安定性の条件の分析に、自らの観念的方法を適用したのである
それは大胆な思考と正確な事実観察との独創的な混合であった
大胆な思考の枠組みとして、形相、一般的な変化と腐敗、生成と没落についての理論があり、現実的な社会構造論を構築した
完全で善なる形相、イデアがあり、それが原型となって生れた知覚対象物が時間と空間において変化する
知覚対象物の始祖が完全・善なるものなので、そこからの変化は必然的に不完全・悪、腐敗へと向かわざるを得ない
変化は悪であり、静止は神聖なのである
プラトンは「絶対の永遠の不変性は、あらゆるもののうちでも最も神的なものにのみ帰属する」と言い、アリストテレス(384-322 BC)は「ものは、形相を分有することによって生成され、形相を喪失することによって腐敗する」と言っている
『ティマイオス』で論じられている種の起源は、プラトンのこの理論と完全に一致している
次のような具合である
生物界で最高の地位を占めるのは人間で、神々によって創造された
他の種は人間が腐敗・退化する過程で作られた
最初に腰抜けや悪人といった男が退化して女が生まれる
知識に欠けるものが退化して、より下の動物に変化する
余りにも安易に生きている人間は鳥類に転化した
哲学に何の興味も示さなかった者から陸棲動物が生まれ、無知極まりない人間から魚類が生じた
ポパー(1902-1994)の見るところ、プラトンやヘラクレイトス(c. 540-c.480 BC)の哲学は、自身が被った社会的体験(階級闘争や社会的環境の解体)による気が滅入るような感情に由来しているという
そして社会学者としてのプラトンの偉大さを、こう説明する
それは、社会の腐敗法則における思弁にあるのではなく、観察の豊かさと詳細さ、社会学的直感の驚くべき鋭さにある
例えば、社会の原初における族長政治についての理論、政治や歴史発展において経済的背景を強調する社会・経済学的ヒストリシズム、そして革命において支配層の分裂を前提とする法則などに見てとれるという
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