2024年6月10日月曜日

欧州議会議員選挙、リブレリーの棚と対峙、そしてスローターダイクさんの話を聴く


























今回のフランス滞在もマスメディアとの接触がない状態で進んでいる

フランスにいた当初からのスタイルなので、もう16-7年この状態が続いている

ただ、2017年フランス大統領選挙の時にはフォローしたことがあるが、その後は再び元の状態に戻ってしまった

流れる現実を追うためには膨大なエネルギーが必要となり、意識が自らの求める方向とは違うところに集中してしまうからだろう

そんな状態でも、昨日終わった欧州議会議員選挙結果が目に入った

数字だけを見れば、全議席720の内、保守系(conservateurs)が179、社会民主(sociaux-démocrates)が140、そして極右(extrême droite)に分類されている3つの党派を合わせると178となっている

詳しいことは分からないが、前回の2019年の傾向は維持され、極右全体では前回より増えているのではないだろうか

フランスでも、国民連合(Rassemblement National, RN)が第1党となり27議席、続いてマクロン大統領が支持するルネッサンス(再生)(Renaissance)が23議席を獲得

国民連合と聞いてもピンとこなかったが、2018年にマリーヌ・ル・ペンの国民戦線=Front National, FN が名前を変えたものであった

いずれにせよ、前々回の大統領選挙から感じられた地殻変動がじわじわと起こっているようだ

ところで、Le Monde の選挙結果を示すカラーの図には、色覚異常者(daltoniens)のために色を変えるボタンが付いていた

日本では気付かなかった配慮である



このような状態だが、旅行者にはこれまでと変わらない日常が流れている

今日は午前中からカフェに出かけ、考えをまとめていた

それから今日の写真のリブレリーで暫しの時を過ごし、自らの脳内ランプが灯る瞬間を待った

棚全体を眺めて気になったものを手に取り、その勘が当たったかどうかを確かめるという作業をやっていた

今日は想像以上の収穫があった

ほとんどをメモだけにして、1冊だけ手に入れた

本の重量が軽かったことと、タイトルと内容がわたしの興味と完全に重なっていたからである

著者を見ると、韓国出身でドイツで活躍しているビョンチョル・ハンという哲学者であった

日本でどれだけ知られているのかは分からない


























午後からは、スローターダイクさんの話を聴くために、コレージュ・ド・フランスへ

今回で3回目になる

今の興味に合致するからというよりは、これからのために視界を広げておきたいということの方が大きかった

いつも一部と二部に分かれているのだが、第一部のご本人の話にわたしの脳内ランプは全く反応しなかった

こういうことがあるのである

後半は、ロバート・ボーグ・ハリソンというスタンフォードの教授がプレゼンした後、対論となった

ハリソンさんは冒頭に少しだけ話をした後、ソルボンヌの女性教授に自分の原稿を読んでもらっていた

フランス語の切れが違うということなのだろうか

いずれにせよ、後半はランプが灯る回数が急に増加

これからのためにメモに残しておいた

来週が最後の講義になるとのことだったので、聴講することにしたい

振り返れば、全く予期しなかったことだが、今回のフランスはスローターダイクさんの話を聴くために来たような様相を呈している

まさに、目的は最後に現れるのである
医学のあゆみ 251: 199-202, 2014









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