この秋のサイファイカフェSHEで、拙著『免疫から哲学としての科学へ』の第1章を読んだ
この読書会は札幌でも来年から始まるので、つい数日前、何気なく手に取ってみた
免疫システムにおいて重要な役割を担っている分子に主要組織適合遺伝子複合体(ヒトではHLAと言われる)がある
この分子は自己を特徴づけるもので、移植の際に重要になる
また、抗原を免疫担当細胞に提示するという重要な機能を担っている
この分子を発見したのは、イギリスの若き病理学者ピーター・ゴラー(1907-1961)であった
残念ながら、肺がんのために54歳で亡くなった
わたしは1978年、ボストンからマンハッタンにあるスローンケタリングがんセンターに移った
エドワード・ボイス(1923-2007)という、やはりイギリス人の研究室で研究するためである
その意味で、ボイス博士はわたしの師に当たる
ボイス博士がゴラーの教えを受けていることは知っていたが、ゴラーとわたしの関係には全く注意が向いていなかった
今回自著を読みながら、わたしはピーター・ゴラーの孫弟子の一人になるのではないかと気づいたのである
そのようなものの見方がわたしの中になかったため、今まで気づかなかったのだろう
ボイス博士がゴラーを回想したエッセイ(Working with Gorer, 1957–1960, Immunogenetics 24: 350-351, 1986)が残っているが、共感を持って読んだことを思い出す
自分にもそういうところがあるような気がしたからだろうか
そんなこともあり、エッセイで紹介されていたゴラーという人間性の一部を拙著でも取り上げた(p. 50)
今回の発見があったからといって、だからどうだ、ということになるのだが、なぜか不思議な感じがしている
これも振り返りの効果だろうか
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