ヘラクレイトスは、すべては流れと変容の中にあるとする一方、すべては対立が調和する統一の中にあると考えていた
永遠の変容はカオスとは異なり、そこに一つの統一体を見ていたようである
一見すると矛盾する2つのテーゼを唱えていたことになる
外見上は変化と動きの中にあるが、その背後に秩序があり節度をもって動いているとしたのである
その秩序を知る鍵がロゴス(λόγος)であった
ロゴスは多義的な言葉であるが、当時は大きく3つの意味があったという
第1は言説で、行動に対して語られることを指していた
第2はより限定的な意味で、算数や幾何学における計算、尺度などを指す
そして第3の意味は、論理、論理的に考える能力、あるいは理性を指していた
これは科学研究に用いられるもので、「省察」という行為と関連づけられる
この用法は紀元前5世紀以前には見られないという
ヘラクレイトスは、ロゴスの中に2つの種類を見ていたようだ
1つは普通の人間が用いるもので誤りに導きやすいもの、もう1つは研究者が用いる真理に繋がるロゴスである
その意味では、ヘラクレイトスはロゴスを世界を統一するものとして捉えた最初の哲学者と言えるのかもしれない
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