第2回は、3月6日に開催された第12回カフェフィロPAWLについて紹介したい
会の要旨:
「偶然は存在しない。あるのは約束された出遭い (rendez-vous) だけだ」
――本書巻頭エピグラフより
科学と哲学、西洋と東洋、フランス語と日本語…。その両者を往還する明晰な思考から紡ぎだされる『免疫学者のパリ心景』を読んでいると、自分の頭のなかの澱がゆっくりとけて、とても静かで、みずみずしい世界へと誘われる心地よさを感じます。
このたび贅沢にも著者である矢倉先生に朗読をお願いし、内容の再確認だけにとどまらずに、著者の「声と身体」を通した生きた読書体験となることを期待して、この会を企画させていただきました。
初回は、留学の契機となったご経験と、出会った哲学者を述べた箇所の朗読を聴いた後、当日参加される方が感じたインスピレーションをもとに、全員で意見交換ができれば幸いです.
どのような会になるかは、もちろん始まってみないと誰にも分かりませんが、「オープン」で「インタラクティブ」なトークセッションとなることを期待します。
ところで書物を読むとは、印刷された活字を読み、著者の思考をなぞるばかりでなく、書物の魂とのその都度の出遭い、コミュニケーションの体験ともなりうるのではないでしょうか。
今宵のこの読み直し、語り直しの体験が本書との予想もしていなかったような、思いがけない “約束された出遭い” となることを願って――。
寄せられたコメント:
◉ 岩永氏にオーガナイズしていただいた『免疫学者のパリ心景』を読む読書会は、会議室の光を落として、参加者が矢倉先生の朗読の声を心静かに受けとめるという環境ですすめられました。もし会議室の外から部外者がその状況を眺めるとすれば、まるでオカルト集団が怪しげな集会を行っているかに見えたかもしれません。しかしそんなこととは根本的に違うのは、朗読のなかからそれぞれの心に浮かび上がってくる想いを互いに交錯させ、それを表現し合うことで自身のなかで考えを練り上げて、自分の考えを拡げていこうとすることです。
矢倉先生ご自身も、朗読をすすめるなかで、ご自身の著書であるのに、よくこんなに多彩な内容を筋道たてて書けたものだという感想を述べておられました。まさにそこに矢倉先生の「生き方としての哲学」が表出したのものであり、それこそが哲学の普遍性ではないのかと思った次第です。貴重な時間を持てたことを感謝いたします。
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