昨日のこと、Youtubeから初めての人の話が流れてきた
イアン・マギルクリスト(Iain McGilchrist, 1953-)という精神分析や神経科学を専門とするイギリスの哲学者のようだ
一時期、左脳と右脳の機能分担が話題になった
注意したことはなかったのだが、左脳は言語による思考に関与し、右脳は言語を介さない認識に関与するというようなことではなかったかと思う
この説に対して、マギルクリストは異議を申し立てる
彼によれば、左脳は分析的思考、何かを制御しようとする思考に関わり、右脳は現象をそのまま理解しようとするもので、より難しい思考だとしている
西洋文明では左脳的思考が優勢になっており、これからの問題解決には右脳的思考が重要になると言っている
言葉を換えれば、前者は科学的思考で、後者は歴史や哲学を絡めた思考となるだろう
そして、これはそのまま、わたしが言っている「意識の三層構造」の考え方と重なることに驚いたのである
意識の三層構造については、もう9年前に「医学のあゆみ」に連載したシリーズ『パリから見えるこの世界』に以下のエッセイを書いている
「意識の第三層」、あるいはパスカルの「気晴らし」.医学のあゆみ 258: 185-189, 2016
以下にオリジナルの図を貼り付けておきたい
この図を見ながら簡単に説明したい
第1層は日常生活で使われる意識で、ほとんど反射的な反応の中にあり、思考というものが行われていない
第2層は専門的な職業の中で使われる意識で、多くは科学的・分析的思考が行われると想像される
自分自身を振り返り、仕事をしている時にはこの2層に留まっていたことが分かったのである
なぜなら、長年に亘るフランスでの生活がこの2層とは全く違う意識の中にあることに気づいたからであった
それは、職業人ではなく人間として、一つの領域に留まるのではなく領域を超えて、つまり全体的な視野でものを考える層を構成しており、第3層と名づけた
その上で、第3層の開拓こそ、現代の諸問題の解決に欠かせないと考えるようになり、いろいろな活動をするようになったという点で、わたしの中では最重要概念の一つになっている
今年の元旦、意識の3層構造と幸福の問題が結びつき、一つの考えになった
それをサイファイ研究所ISHEのページにアップしたので、ご参考までに以下に貼り付けておきたい
意識と幸福の三層構造(2025.1.1)
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