2025年9月4日木曜日

ミシェル・アンバシェ『自然の哲学』を読む(3)

 

















今日は、「『自然哲学』すなわち探求領野としての自然」という節を読むことにしたい

われわれが理解する自然哲学は、アリストテレス(384-322 BC)の世界における経験的委細を集めたものだという

彼の著作に表れた全体が自然哲学だと言いたいのだろうか

この世界観は、コペルニクス(1473-1543)やガリレイ(1564-1642)が現れるまでの二千年もの間有効だったことになる

その内容を知るために、『天体論』を検討する


まず天体だが、アリストテレスの世界は星を付着して回転する巨大な球の内部に包まれたものとして捉えられ、この球が天と命名された

星自体が運動するのではなく、天の24時間で1回転の運動が星を動かすのである

イオニアの自然学とは異なり、地上の物質から天ができているのではなく、第5元素のエーテルがその実体であった

このエーテルもまた、1887年のマイケルソン=モーリーの実験で否定されるまでの長きに亘ってわれわれの思考を縛り続けることになる

もう一つの特徴は、空虚を含まないことで、同心球が組み合わさり、その中心には不動の大地(地球)があるというものであった

運動は神によって最初の天に伝えられるが、それは物理的なものではなく、魅力と欲求によるもので、その衝撃は「知性」に見守られ、世界の果てまで伝わってゆくのである





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