2025年9月11日木曜日

ミシェル・アンバシェ『自然の哲学』を読む(5)































これまで、自然(天体、月下の世界、植物、動物)を事実と観察において見る「自然哲学」について簡単に触れてきた

今日から、それとは別の流れにある「自然の哲学」について見ることにする

前者が経験的探求に重きを置くが、こちらは諸現象の存在と運動についての説明に重点が置かれる

具体的には、8巻に及ぶ『自然学』と3巻から成る『霊魂論』である


自然哲学はコスモスの像から始まったが、自然の哲学は自然的世界の定義とともに始まる

アリストテレス(384-322 BC)によれば、「自然的」とは自身の中に動的自立性(運動・静止)の原理を有するもののことである

例えば、星の周転、軽い物体の上昇、重い物体の落下、動物の移動など

しかし、寝台とか外套などの類はすべて技術の産物であるので、自然的傾向を有しないとする

自然と技術の関係を見ると、自然も技術も目的のために作用する

この両者は、目的因によって説明されるのである

さらにアリストテレスは、鍛冶屋の技術と動物の発生を比較する

この両者は外的作用と内的作用という違いはあるが、質料に形相を与えて一つの目的を達成するという点では共通する

技術は自然を模倣すると言われる所以である


アリストテレスは、自然学(天文学、光学などを除き)と数学を乖離させる

自然に対する自然学的アプローチと数学的アプローチは両立しないという立場である

数学は感覚的特性を考慮に入れないが、自然学の対象は感覚的質料と形相を持ち、目的に向かう傾向がある

したがって、 後のガリレイ(1564-1642)やデカルト(1596-1650)がするような運動の評価や測定は自然学の問題にはならない

自然の哲学の目的は、個々の運動が宇宙的全体の調和にどのように寄与しているのかを探ることである









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