2025年7月28日月曜日

5度目の穐吉敏子さん

































昨夜、寝る前にテレビをつけると穐吉敏子(1929-)さんの特集が流れていたので最後まで観た

いつもと同じパターンだ

おそらく、これまでに何度か見ているものと重なるのではないかと思う

今回気づいたことはすでに記録されているものばかりであったので

以下に列記しておきたい


  Be kind to yourself(2016年4月3日)

  穐吉敏子さんとストア哲学(2020年3月21日)

  穐吉敏子さんの言葉、再び(2021年2月23日)



現在95歳で、まだ現役なのだろうか

これだけ偶然の出会いが重なると、どこかに必然の糸が交錯しているのではないか

彼女のあゆみを見て感じるところがあるのは、自分もアメリカで7年という時間を過ごしたことと無関係ではないだろう

今回も彼女の中にあるストア哲学に気づいたし、芸術家としての覚悟のようなものを再確認することになった

求めているところが高いところにある人である

そして、考え方が非常にシンプルである

いつも頭の中がすっきりする

本質に至るにはそれが大事なのかもしれない









2025年7月25日金曜日

第14回サイファイフォーラムFPSSのまとめ
























7月12日(土)に開かれた第14回サイファイフォーラムFPSSのまとめをサイトにアップした

今回の話題は以下の3題であった

 1)矢倉英隆: シリーズ「科学と哲学」⑧ プラトンと医学
 2)武田克彦: 神経心理学の方法
 3)市川 洋: 社会の中の科学と科学コミュニケーション

それぞれ全く関係のない内容になると思っていたが、まとめの段階でいろいろなつながりが見えてきて実に興味深い経験となった

次回はどのような演題が出てくるのかまだ分からないが、最後には今回のようなかそけき糸が見えてくることを期待したいものである



次回の第15回FPSSは、11月8日(土)13:00~17:00開催の予定です

多くの方の参加をお待ちしております








2025年7月18日金曜日

第21回サイファイカフェSHEのまとめ
















7月9日(水)に開催した第21回サイファイカフェSHEのまとめをサイトにアップした

免疫から哲学としての科学へ』の3回目の読書会のまとめということになる

 こちらから

「まとめ」とは銘打っているが、最近の傾向はまとめと言うより「再現」に近くなっている

変にまとめようとするのではなく、できるだけ具体的な内容を残しておこうという考えに変わってきたようだ

つまり、一次資料的な意味合いを持たせているのだろう

そういう資料がある方が、後々それをまとめるメタの思考をする際に有用になるのではないかと考えているのかもしれない


この読書会の最終回は、これまで明らかにされた科学的事実から想像を広げ、「免疫の形而上学」と題して、11月14日(金)18:00~20:30、恵比寿カルフールにて開催予定です

奮って参加していただければ幸いです

よろしくお願いいたします







2025年7月16日水曜日

2つの意識レベルの差異が何をもたらすのか






猛暑の東京から当地に戻ったが、天国である

あの暑さだけで心身がかなり消耗していたようだ


さて、天国という言葉には2つの意味がある

一つは、今の時期、人間が暮らす環境とは思えないような猛暑に比べると圧倒的に過ごしやすいという意味での天国である

もう一つは、意識のレベルが違うということ

ここにいる時には意識が内的世界の底の底まで下りていき、現世が非常に遠くなり、現実世界に働きかけるのにかなりの精神的労力が必要となる

あるいは、意識が天空に上り、現実世界が遠く離れているために同じ症状が出ているとも言えるだろう

天空に在ると言えば、イデアの世界を想起させる

それに対して、東京では意識のレベルが底から少し上がっているように感じる

そのため、現実世界への働きかけが比較的容易になっているようだ

以前であれば、これにフランスの世界が加わっていた

そこでは、日本の日常的な世界が消えていくので、イデア世界の純度がさらに増すという印象で、捨て難いものがあった


いずれにせよ、この意識レベルの差異が一体何をもたらしてくれるのか

どのようなことに気づかせてくれるのか

興味深い問題である

これからも注意深く観察を続けたいものである











2025年7月12日土曜日

第14回サイファイフォーラムFPSS、盛会のうちに終わる












このところの猛暑に比べると、比較的凌ぎやすい一日であった

本日は、14回目になるサイファイフォーラムFPSSが日仏会館で開催された

プログラムは、以下の通りであった

(1)矢倉英隆: シリーズ「科学と哲学」⑧ プラトンと医学

(2)武田克彦: 神経心理学の方法

(3)市川 洋: 社会の中の科学と科学コミュニケーション

要旨は、こちらから


欠席者が3名で、参加されたのは9名(若手が2名、内1名は初参加)であった

若い血(知)が注入されると、やはり会は活性化するように感じた

これからも新しい参加があることを願っている

議論はゆったりとしたペースで進んだが、問題点については触れることができたのではないだろうか

落ち着いてからまとめをする予定である

FPSSのサイトを訪問いただければ幸いである























2025年7月11日金曜日

第1回サイファイ対話 CoELP のお知らせ




























サイファイ研究所ISHEでは新しい活動として「サイファイ対話 CoELP」を始めることにいたしました

この会は「哲学者との生命倫理対話」(Conversations on Ethics of Life with Philosophers)の名が示すように、人間の生を取り巻く倫理的な問題について哲学者、倫理学者の方々と議論するものです


第1回の会合を以下の要領で開催する予定です

 日時: 2025年12月6日(土)14:00~17:00

 会場: 決まり次第お知らせいたします

 テーマ: 生命倫理の問題を考える――いのちの終わりの倫理

 講師: 中澤栄輔先生(東京大学大学院医学系研究科・医療倫理学分野)


会の詳細は、こちらをご覧ください

会の趣旨にご理解をいただき、積極的に参加していただければ幸いです

よろしくお願いいたします




 







2025年7月10日木曜日

高村光太郎の「パリ」


























わたしにとっての2番目のブログになる「パリから観る」に高村光太郎(1883-1956)の詩があった

以下に転載したい



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 パリ


私はパリで大人になった。

はじめて異性に触れたのもパリ。

はじめて魂の解放を得たのもパリ。

パリは珍しくもないような顔をして

人類のどんな種族をもうけ入れる。

思考のどんな系譜をも拒まない。

美のどんな異質をも枯らさない。

良も不良も新も旧も低いも高いも、

凡そ人間の範疇にあるものは同居させ、

必然な事物の自浄作用にあとはまかせる。

パリの魅力は人をつかむ。

人はパリで息がつける。

近代はパリで起こり、

美はパリで醇熟し萌芽し、

頭脳の新細胞はパリで生れる。

フランスがフランスを超えて存在する

この底無しの世界の都の一隅にいて、

私は時に国籍を忘れた。

故郷は遠く小さくけちくさく、

うるさい田舎のようだった。

私はパリではじめて彫刻を悟り、

詩の真実に開眼され、

そこの庶民の一人一人に

文化のいわれをみてとった。

悲しい思いで是非もなく、

比べようもなく落差を感じた。

日本の事物国柄の一切を

なつかしみながら否定した。


(「暗愚小伝」 より)










2025年7月9日水曜日

第21回サイファイカフェSHEで免疫を考え直す














今日は第21回のサイファイカフェSHEを開催し、拙著『免疫から哲学としての科学へ』を読みながら、免疫というものについて考えた

お忙しい中、また猛暑の中、お集まりいただいた皆様には改めて感謝したい

お陰様で、充実した議論ができたのではないだろうか


今日具体的にやったことは、前回積み残した第2章の最後の節「オーガニズムとは」から始めて、第3章「オーガニズムレベルの免疫システム」、さらに第4章の生物界における免疫システムを概観するところまでを読んだ

第4章の残りの3節は時間切れで、次回に回すことになった

今日の全体を通しての印象は、免疫なる機能が生物界に広く存在していること、その意味では生命の分布と重なること、また免疫機能は生体全体で担われていること、免疫内のサブシステムとしてこれまで考えられていた自然免疫と獲得免疫の境界もぼやけてきたことなど、視野を全体に広げることが迫られているということであった

免疫システムの捉え方も言葉の使い方も考え直さなければならない時期に来ているように見える

詳細については、近いうちに専用サイトにまとめる予定である

そちらを参照していただければ幸いである


なお、最終回の読書会は11月14日(金)の開催予定で、免疫の形而上学について議論することになっている

皆様の参加をお待ちしております

























2025年7月8日火曜日

カーネル・サンダースさんの顔とショパンの顔




























今日は午後から明日の拙著の読書会(第21回サイファイカフェSHE)の準備のために街に出た

おそらくアメリカ時代以来初めてになるのではないかと思われる店に、なぜか入ってみる気になった

何気なく前を見ている時、カーネル・サンダースさんの顔が浮き上がってきた

すでに知っているので改めてみる必要もないだろうと思っていた

しかし、これまでじっくり見たことがなかったことに気づいたのである

それからかなり長い間サンダースさんと対面しているうちに、この記事のための写真を撮っていた

不思議なこともあるものだ

ただ、このようなことはわれわれの日常に溢れているはずである

知ったつもりになっていることを、実は何も知らなかったということが、

わたしの関心領域にもこのようなことが山のように溜まっている


顔について同様の経験を以前にもしていたことを思い出した

フランスに渡って3年目の2010年正月、ショパンの写真をじっくり見ているうちにショパンだとは思えなくなったのである

その時初めて、ショパンの顔はこうだったのかと気づいたと言ってもよいだろう

その記録が残っていた

 ショパンの顔を初めて見る(2010年1月9日)









2025年7月7日月曜日

旧研究所のメンバーとの会食を楽しむ


























今日は昔の職場になる東京都の研究所の皆さんとの会食があった

すでに二昔になろうかという前に辞めたところでのつながりだが、まだ続いているのは不思議と言えば不思議である

皆さんはよく会われているようだが、わたしは1年振りになる

皆さんお元気そうで何よりだ



次々に出る多彩な食事を肴に会話を楽しんだ

その中に、わたしは日頃どんな生活をしているのかという質問があった

これまでも触れているように、何をするでもなしにブラブラしているのが基本である

皆さん仕事に追われているので、それは一体どういう生活なのかと思われたかもしれない

致し方ないだろう

所謂、日常生活、職業生活とは別の次元にいるのが、わたしのような者の生きている空間になる

ある意味で、それは必須条件と言ってもよいだろう



座っていることが多いので、少し体を動かした方がよいのではないかと思い始めていた

そんな時に、適当な場所や散策によさそうなところを教えていただいた

これからの参考にしたいものである



猛暑の中、お忙しいところ足を運んでくれた皆さんに感謝したい

これからのご活躍を願っている









2025年7月5日土曜日

田村、島両氏と的崎、渡邉両氏を仙台で偲ぶ















今日は仙台まで足を延ばした

その昔、同じ領域で研究していた田村眞理氏と島礼氏にお会いし、お話を伺うためである

昨年は都合がつかなかったので、2年振りということになる

今回は、昨年と今年相次いで亡くなった我々よりも若い世代の研究者、渡邉利雄、的崎尚両氏を偲ぶという目的もあった


まず田村、島のお二方とも現実世界と真正面から向き合っておられる

先日も書いた通り、ぶらぶら生活している者から見れば、それだけで敬意を表するに値する

これからどれだけ続けられるのだろうか

注目して見守りたい

仙台が以前にも増して近く感じられるようになったので、仙台訪問の機会を増やしてもよいのではないかというアイディアが酔いの中で浮かんできた

声に出してみたところ、それほど抵抗がないような印象を持ったので(あくまでも主観的判断ではあるのだが、)具体化に向けて検討する方向で進めることにした


ところで、上で「その昔」と言ったが、考えてみると科学研究を止めたのがもう二昔も前になろうとしている

ということは、仕事をしていた時期と同じ時間がもうすぐ流れ去ることを意味している

そんなに長い間無為の生活をしていたとは、驚くばかりである

あるいは、仕事をしていた時期が短かったということなのだろうか

フランスに渡った時を境に前と後ができたわけだが、その前・後で何がどのように変わったのか

これからも考えていきたい興味深いテーマである