2025年8月15日金曜日

ベルクソンカフェを振り返る



























ウィンドウズ10のサポートが10月で終わるとのニュースがどこからともなく入ってきた

今使っているパソコンはかなり長い間使っているので、そろそろ替え時かもしれない

ところで、このパソコンいつ買ったのだろうか、と記憶を辿ってみると、丁度10年前になることが分かった

今では遥か彼方の記憶の一断片に過ぎなくなっているが、当時は半年くらい重い気持ちで過ごしていた

2015年1月のブリュッセルでそれまで使っていたパソコンを盗まれたのであった

その時の記録が残っている

  記憶のクラススイッチ、あるいは「出来事」から創造へ(医学のあゆみ 255: 787-791, 2015)

その年の12月にスートゥナンスがあったので、哲学の領域での博士になってから10年ということも意味している

ただ、自分の中ではそのような長さを持った時間としては捉えられていないようである

外からは10年という時間に見えるこの満ちた内的経験について解きほぐすことも、これからのプロジェになりそうである



ところで、このところベルクソンカフェの「これまで」を振り返っている

現在、最初に取り上げたピエール・アドー(1922-2010)についてまとめようとしているが、意外に大変である

どこまで踏み込むのかという問題が付いて回るからだ

今回のプロジェはベルクソンカフェの営みを紹介するものなので、そこで読んだものを中心にまとめるという方向性で固まりつつある

他の哲学者として、アラン・バディウ(1937-)とマルセル・コンシュ(1922-2022)が控えている

このお二方についても同じ考え方で向き合うことになるだろう

現段階でどのようなものになるのかは想像できない

ただ、小冊子ではあるが自分に照らして読み進むことができるようなものにしたいという気持ちではいる
















2025年8月6日水曜日

第14回サイファイカフェSHE札幌のまとめ
















先週土曜に開催したサイファイカフェSHE札幌のまとめをサイトにアップした

免疫から哲学としての科学へ』で論じられている中から話題にしたことをできるだけ拾い上げるようにした

今回も、生物が如何に精巧なメカニズムに支えられているのかということを驚きをもって確認した

と同時に、それでも完璧な制御はできず(それが生物か)、いろいろな問題を生み出すけれでも、それに対応する方法も準備しているという目を見張るようなことが行われている

このような本を読み、生物の細部に入ることにより初めて見えてくる素晴らしき世界である

汲めども尽きぬ世界がそこに広がっている

次回も驚きの心をもって読み進みたいものである







2025年8月3日日曜日

読書会の意味、改めて
































昨日で今年の夏のカフェ/フォーラムシリーズを終えた

2つのカフェと1つのフォーラムであったが、2つのカフェとも東京と札幌における拙著『免疫から哲学としての科学へ』の読書会となった

読書会をやりながら感じていたのは、全くの想像ではあるのだが、この本を一人で読むだけでそこに書かれてある世界を掴むことはかなり難しいのではないかということであった

かといって、この読書会で補足しながら話していることを本の中に入れることにも無理があるように見える

膨大な本になる可能性があるからだ

今回の本に関しては、かなり細かい科学的事実を拾い上げ、事実の間の論理的なつながりを明確にすることに努めた

その理由は、この本の内容がこれからの省察の基礎になるものなので、それを最初に示しておくことが重要だと考えたからである

将来何らかの疑問や問題が出てきた時に戻るべき資料庫を用意しておくという意味もあった

また、最初からメッセージを掲げて進み、その背後にある事実を置き去りにするというやり方には与したくなかったからでもある

そのため、事実を把握するのにかなりの労力を要することになるが、その部分が著者による解説で軽減されるということがあるのではないだろうか

また、これからの読書会では、事実から思考を飛躍させるところも出てくるので、そのような部分でも著者の声はさらに参考になるのではないかと想像している


いずれにせよ、この読書会は以下の予定で続くことになっている

東京: 11月14日(金)「免疫の形而上学」

札幌: 10月18日(土)「オーガニズムレベルと生物界の免疫」

    2026年4月?日(土) 「免疫の形而上学」


興味をお持ちの方の参加をお待ちしております








2025年8月2日土曜日

第14回サイファイカフェSHE札幌、盛会のうちに終わる












今日は第14回のサイファイカフェSHE札幌の日で、拙著『免疫から哲学としての科学へ』の2回目の読書会であった

北の都といえども暑さは容赦をしてくれない中、7名の方の参加があり、充実した質疑応答があった

今回は、仮説の意義や自己免疫、共生、オーガニズムの問題について考えた

最近明らかになっていることは、我々は単独で存在していることはできず、あるいは実際に他の生物と共生関係を保ちながら生きている

開かれたプロセスとしての存在、関係性の中にあるわれわれの「生」という視点から思索を深めるための起点を得たような気分である

詳細なまとめは、近いうちにSHE札幌のサイトに掲載する予定である

こちらを参照していただければ幸いである


九鬼周造(1888-1941)に次の歌がある

一巻にわが半生はこもれども繙く人の幾たりあらむ 

創作者が感じるであろう孤独や空しさのようなものが窺える

その背後に、それでも書くのだという固い気持ちもあることを信じたいところではある

このような境地から見ると、今回のような会で拙著が丁寧に読まれる機会が得られることは至福と言ってもよいだろう

長いスパンでいろいろな方の中を通り過ぎることになるとすれば、嬉しい限りである


第3回の読書会は、10月18日(土)に開催予定です

詳細は追ってお知らせいたします

興味をお持ちの方の参加をお待ちしております
















 







2025年7月28日月曜日

5度目の穐吉敏子さん

































昨夜、寝る前にテレビをつけると穐吉敏子(1929-)さんの特集が流れていたので最後まで観た

いつもと同じパターンだ

おそらく、これまでに何度か見ているものと重なるのではないかと思う

今回気づいたことはすでに記録されているものばかりであったので

以下に列記しておきたい


  Be kind to yourself(2016年4月3日)

  穐吉敏子さんとストア哲学(2020年3月21日)

  穐吉敏子さんの言葉、再び(2021年2月23日)



現在95歳で、まだ現役なのだろうか

これだけ偶然の出会いが重なると、どこかに必然の糸が交錯しているのではないか

彼女のあゆみを見て感じるところがあるのは、自分もアメリカで7年という時間を過ごしたことと無関係ではないだろう

今回も彼女の中にあるストア哲学に気づいたし、芸術家としての覚悟のようなものを再確認することになった

求めているところが高いところにある人である

そして、考え方が非常にシンプルである

いつも頭の中がすっきりする

本質に至るにはそれが大事なのかもしれない









2025年7月25日金曜日

第14回サイファイフォーラムFPSSのまとめ
























7月12日(土)に開かれた第14回サイファイフォーラムFPSSのまとめをサイトにアップした

今回の話題は以下の3題であった

 1)矢倉英隆: シリーズ「科学と哲学」⑧ プラトンと医学
 2)武田克彦: 神経心理学の方法
 3)市川 洋: 社会の中の科学と科学コミュニケーション

それぞれ全く関係のない内容になると思っていたが、まとめの段階でいろいろなつながりが見えてきて実に興味深い経験となった

次回はどのような演題が出てくるのかまだ分からないが、最後には今回のようなかそけき糸が見えてくることを期待したいものである



次回の第15回FPSSは、11月8日(土)13:00~17:00開催の予定です

多くの方の参加をお待ちしております








2025年7月18日金曜日

第21回サイファイカフェSHEのまとめ
















7月9日(水)に開催した第21回サイファイカフェSHEのまとめをサイトにアップした

免疫から哲学としての科学へ』の3回目の読書会のまとめということになる

 こちらから

「まとめ」とは銘打っているが、最近の傾向はまとめと言うより「再現」に近くなっている

変にまとめようとするのではなく、できるだけ具体的な内容を残しておこうという考えに変わってきたようだ

つまり、一次資料的な意味合いを持たせているのだろう

そういう資料がある方が、後々それをまとめるメタの思考をする際に有用になるのではないかと考えているのかもしれない


この読書会の最終回は、これまで明らかにされた科学的事実から想像を広げ、「免疫の形而上学」と題して、11月14日(金)18:00~20:30、恵比寿カルフールにて開催予定です

奮って参加していただければ幸いです

よろしくお願いいたします







2025年7月16日水曜日

2つの意識レベルの差異が何をもたらすのか






猛暑の東京から当地に戻ったが、天国である

あの暑さだけで心身がかなり消耗していたようだ


さて、天国という言葉には2つの意味がある

一つは、今の時期、人間が暮らす環境とは思えないような猛暑に比べると圧倒的に過ごしやすいという意味での天国である

もう一つは、意識のレベルが違うということ

ここにいる時には意識が内的世界の底の底まで下りていき、現世が非常に遠くなり、現実世界に働きかけるのにかなりの精神的労力が必要となる

あるいは、意識が天空に上り、現実世界が遠く離れているために同じ症状が出ているとも言えるだろう

天空に在ると言えば、イデアの世界を想起させる

それに対して、東京では意識のレベルが底から少し上がっているように感じる

そのため、現実世界への働きかけが比較的容易になっているようだ

以前であれば、これにフランスの世界が加わっていた

そこでは、日本の日常的な世界が消えていくので、イデア世界の純度がさらに増すという印象で、捨て難いものがあった


いずれにせよ、この意識レベルの差異が一体何をもたらしてくれるのか

どのようなことに気づかせてくれるのか

興味深い問題である

これからも注意深く観察を続けたいものである











2025年7月12日土曜日

第14回サイファイフォーラムFPSS、盛会のうちに終わる












このところの猛暑に比べると、比較的凌ぎやすい一日であった

本日は、14回目になるサイファイフォーラムFPSSが日仏会館で開催された

プログラムは、以下の通りであった

(1)矢倉英隆: シリーズ「科学と哲学」⑧ プラトンと医学

(2)武田克彦: 神経心理学の方法

(3)市川 洋: 社会の中の科学と科学コミュニケーション

要旨は、こちらから


欠席者が3名で、参加されたのは9名(若手が2名、内1名は初参加)であった

若い血(知)が注入されると、やはり会は活性化するように感じた

これからも新しい参加があることを願っている

議論はゆったりとしたペースで進んだが、問題点については触れることができたのではないだろうか

落ち着いてからまとめをする予定である

FPSSのサイトを訪問いただければ幸いである























2025年7月11日金曜日

第1回サイファイ対話 CoELP のお知らせ




























サイファイ研究所ISHEでは新しい活動として「サイファイ対話 CoELP」を始めることにいたしました

この会は「哲学者との生命倫理対話」(Conversations on Ethics of Life with Philosophers)の名が示すように、人間の生を取り巻く倫理的な問題について哲学者、倫理学者の方々と議論するものです


第1回の会合を以下の要領で開催する予定です

 日時: 2025年12月6日(土)14:00~17:00

 会場: 決まり次第お知らせいたします

 テーマ: 生命倫理の問題を考える――いのちの終わりの倫理

 講師: 中澤栄輔先生(東京大学大学院医学系研究科・医療倫理学分野)


会の詳細は、こちらをご覧ください

会の趣旨にご理解をいただき、積極的に参加していただければ幸いです

よろしくお願いいたします